相続財産管理人

2016-04-15

先日、Aさんより、親戚の叔父さん(Bさん)が亡くなったので、その相続手続の依頼がありました。Aさんの話によると、Bさんは亡くなるまで一人暮らしをしていましたが、その死亡後、Bさんが所有していた自宅不動産には誰も住まなくなり空き家の状態で、近所に住んでいるAさんが部屋の清掃や片付け、庭の草むしり等の維持管理をしていました。しかしながら、今後も維持管理を継続するのが大変で、かつ誰も住む予定もないので売却することがAさんの希望でした。

このような場合、一般的には、まず自宅不動産の登記名義を相続人に変更した後で売却することになるのですが、亡Bさんの戸籍謄本、除籍謄本等の相続関係書類を調査したところ、Aさんと亡Bさんは遠縁の親族であり、近所に住んでいたので、いわゆる「親戚」としての付き合いはありましたが、Aさんは、法律上の「相続人」には該当しませんでした。

従って、Aさんは、亡Bさんの法定相続人ではないため、不動産や預貯金等の亡Bさん名義の遺産につき、名義変更等の各種相続手続を行うことが出来ません。また、Aさん自身にその権限がないので、たとえ専門家であってもAさんからの依頼によって亡Bさんの相続手続を行うことが出来ない状況でした。

では、このような場合、何もすることが出来ないのでしょうか。

民法第951条に次のような規定があります。

「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。」

この「相続人のあることが明らかでないとき」とは、亡Bさんのように最初から法定相続人がいない場合は当然ですが、法定相続人がいたものの、その全員が相続放棄をした場合でも該当します。

結局、今回のケースでは、Aさんが、家庭裁判所に対し、相続財産管理人選任の申立を行い、亡Bさんの遺産は、「亡B相続財産」という法人となりました。これにより、亡Bさんの遺産については、家庭裁判所により選任された相続財産管理人が管理することになり、Aさんによる亡Bさんの遺産管理は終了しました。

その後、自宅不動産の登記名義も「B」から「亡B相続財産」に変更され、買主も見つかり無事に売却されたようです。

これで、依頼の主な目的は達成しました。Aさんは、亡Bさんの遺産管理から解放されて安心していました。ただ、当然のことではありますが、亡Bさんの不動産の売却代金や預貯金につき、Aさんには相続する権利は有りません。

今回のケースでは、Bさんが生きているうちにご相談をいただければ、Bさんの生活状況やAさんに対する思いを斟酌すると、「Aさんに全財産を相続させる」旨の遺言を作成する等のより良い選択肢が有ったのではないか、と考えさせられました。

 

(センター員 芳賀)

Copyright(c) 2012 OSAKA SOZOKU-IGON SUPPORT CENTER by NPO AIDER All Rights Reserved.